動物の皮膚である「皮」は、そのままだと腐敗したり、乾燥して板のように固くなったりします。それを樹液や薬品を使って、靴や鞄などの道具として使える「革」へと変える工程を「なめし」と言います。今回はなめしの種類と工程をご紹介します。
なめしの種類
古代の人々は、布を使う前は動物の皮を脂や草木の汁につけたり、煙でいぶしたりしてなめし、衣服にしていました。現在では植物タンニンなめしとクロムなめしの2つが主流となっています。
植物タンニンなめし
草木の中に含まれているタンニン(渋)を動物性タンパク質と結合させる方法です。ミモザ、ケブラチヨ、チェスナットから抽出したエキスを、単独または混合して使用します。
タンニンでなめした革は伸縮性が小さく堅牢なので、ケース、鞄、靴底などの立体化する革製品に適しています。また、使い込むほど革が柔らかくなり、色艶が増すエイジングが楽しめるのもこの方法です。
濃度の異なるタンニンに順番に漬け込むなど工程が多く、約2ヶ月ほどかかります。
タンニンでなめし、着色を行なっていないものを「ヌメ革」と言います。ヌメ革の色はタンニンの色なんですね。
クロムなめし
100年ほど前にドイツで開発された方法で、塩基性硫酸クロムと呼ばれる化学薬品でなめす方法です。
クロムなめしは柔軟性があり、伸びが大きく、弾力や耐熱性に優れているため、車やソファなどに幅広く利用されています。手間と時間がかからないため、現在のなめしの主流となっています。
ただし、クロムなめしは重金属系なめしのため、アレルギー体質の方には不向きですし、タンニンなめしのようなエイジングは楽しめません。
なめしの工程
(1)塩漬けされた原皮をドラムに入れて、大量の水で塩分や汚れを落とすと同時に、原皮に充分な水分を与える。
(2)繊維をほぐし、毛を抜きやすくする前処理を行う。
(3)成牛など大型の皮は、作業をしやすくするために背骨に沿って分割する。
(4)なめしを行う。
(5)なめした革を洗い、必要に応じて脂分を加え、乾燥させる。
(6)機械で革の厚みを均等にする。
(7)革を伸ばし、柔軟性を与えて乾燥させる。
(8)染料や顔料で染色する。
(9)必要に応じて型押しや艶出しなどを行い、計量、梱包して出荷する。
まとめ
最近はなめしが注目されています。
革と聞くと原皮の原産国であるイタリアやアメリカのイメージが強いかと思いますが、実はなめしは姫路や浅草界隈など、日本国内でも盛んに行われていて、なめしを行う職人「タンナー」は日本にも数多く存在するんですよ!
タンナーが企画した製品もあるのでチェックしてみてくださいね!